動機づけ面接(MI)の源流 カール・ロジャーズ

「カール・ロジャーズとMI」の文字とイラスト

MIのテキスト第4版(MI-4, 原書)には、謝辞(Acknowledgements)としてカール・ロジャーズ(1902-1987)への感謝が述べられています。

「私たちはまず、カウンセリング、心理療法、教育、臨床科学に対する人間的な、パーソンセンタード・アプローチの創始者であるカール・ランサム・ロジャーズ(1902-1987)への感謝を表明する。MIは、ロジャーズ博士とその弟子たちによって提供された研究の堅固な基礎の上に構築されたパーソンセンタード・メソッドである。」(MI-4 xi, 自動翻訳)

この言葉でもわかるとおり、MIの源流はカール・ロジャーズの研究にあります。

(MIの発祥。ざっくりいうと…)

1970年代、ミラー先生は行動療法とロジャーズのスタイル(特に正確な共感のスキル)の両方を学び、その後、ニューメキシコ大学で学生たちをカウンセラーとして訓練する際に、その両方を学生にも教えた。ある機会に、9人のカウンセラーのセッションと治療結果との関係を調べたところ、行動療法については全員が構造化されたマニュアルに従っており差がつかなかった一方、正確な共感のスキルの度合と治療結果には強い相関関係が見られた。つまり、「正確な共感」ができるカウンセラーの方が治療結果もいいという傾向があった。

・・・だいたいこんな話でしょうか。

(出典:MI-3の27章と下のリンク)
The evolution of motivational interviewing  William R. Miller

もちろん、この時点ではまだまだデータが不足していますが、この後もデータを集めながら、1989年にはロルニック先生とも出会って、1991年にMIテキストの初版が出版されました。

ここで注目したいのは、MIの始まりはカール・ロジャーズ(と弟子たち)の研究、とくにクライエントを理解する「正確な共感」のスキルにあることです。決して、クライエントを操作誘導するテクニックではないということですね。

ちなみに、カール・ロジャーズは1987年に亡くなりましたが、ミラー先生は「彼のワークショップに参加しなかったのを悔やんでいる」そうです。

ロジャーズのセッションは、徹底してクライエントに寄り添い、理解し、同じ景色を見ようとするもので、非常に奥深いものだと思います。
ロジャーズを知ることで、MIをより深く学ぶことにもつながるかもしれません。

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