「MI&対人援助技法」シリーズ終了!〜全10回の振り返りと感想など

2月から5ヶ月に渡って開催したMI&対人援助技法シリーズ(10回)が無事終了しました。
毎回1つ、対人援助に役立つ技法・アプローチを取り上げて紹介、MIとの関連も考えてみる企画。
初めての試みでしたが、皆さん熱心に参加してくださって、充実したものになりました。

MI&技法シリーズのチラシ

シリーズ全体の方針としては、以下の方針で進めました。

  1. 道具を増やす:毎回1つ、ちょっとした入り口として対人支援の道具が増えるといい。
  2. Connect the dots(点と点を結ぶ):毎回の技法とMI、また異なる技法の間にさまざまな重なりを見つけて繋げていく
  3. MIの理解を深める:各技法とMIの共通点や相違点、MIとの組み合わせを考えることで、MIの理解が深まるきっかけになるといい

事後アンケートでは講座の満足度の平均が4.76(5点満点)。
良かった項目は「説明全般(94%)」「エクササイズ(82%)」「参加者同士の意見交換(59%)」など。
特に役に立った回は「REBT/論理療法(76%)」、「リフレクティング」「ACT」「CBT(認知行動療法)」(47%)など。
REBTが高かったのは、アンケートが第10回(REBT)終了後で、また私自身がREBTを専門にしていることも影響していたかもしれません。

シリーズ全体の感想

シリーズ全体の感想からいくつかご紹介します。

  • とても充実した講座でした。火曜日と水曜日に同じ内容をしていただけるので、私のように当直勤務があっても必ずどちらかには出席でき、ありがたかったです。MIはつくづく「対人援助のスタイルなので、いろいろな技法と組み合わせて使うことが可能」と実感できました。
  • 5か月間、本当にあっという間でした。ありがとうございました。
  • いろいろな引出しを増やしていくことの大事さ、引き続き学び続けることを強く感じています。多方面にわたる皆様との出会いのご縁をいただけたことにも感謝です。
  • セルフヘルプになる方法のエッセンスをたくさん教えていただき、MIのPACEを土台にしながら、どこを深めるかという方向づけのきっかけになりました。視野が広がった気持ちです。ありがとうございました。
  • 今回のシリーズもとても楽しく学ぶことができました。ありがとうございます。これからも様々な企画を楽しみにしていますので、よろしくお願いいたします!
  • 「はじめての動機づけ面接 MIガイドブック」はまとまっていて、初心者の方におすすめしています。今回はMI以外のこともたくさん学ばせていただき、ありがとうございました。
  • 心理療法は詳しくないのですが、毎回、私のような初心者でも分かりやすいご説明とワークがあり、参加のハードルが低く、新鮮な学びもあって、楽しく参加できました。
  • MI初級講座から中級、対人援助と多くの学びを有難うございました。藤本さんの人柄から、穏やかな気持ちで学習出来ました。感謝申し上げます。
  • それぞれの技法とMIとの関係を考えることで、MIをいろんな面からみることができたように思います。ほどよいペースと回数で、完走できたことにも達成感がありました。ありがとうございました。
オンラインワークショップの記念写真

各回の振り返りと感想

以下、10回の講座についての簡単な振り返りと感想をご紹介します。

第1回:ストレスコーピング(選択肢を多く持ちそこから選ぶ)


伊藤絵美先生の著書などを参考にストレスコーピング(対処法)の考え方を紹介しながら、MIにおける「自律性のサポート」の関係なども話し合ってみました。

(感想)

  • コーピングを細分化することで行動が具体的になり、日常により落とし込める感じがありました。それにより、いつでもどこでもできるコーピングになって勉強になりました。ありがとうございました。
  • 色々とストレスを抱えているらしい娘と、今度ゲーム感覚でコーピングを考えると数を増やすワークをしてみたいと思いました。MIとの関連、興味深かったです
  • コ-ピングリストを眺めると根底に自身の価値観があることが分かりました。支援者がいてもいなくても自分で選択するとストレスを乗り切れると思います。

第2回:マインドフルネス(「いま・ここ」に向き合う)

「過去のこと」「未来の不安」「他人の評価」ではなく「いま・ここ」に気づきを向けるマインドフルネスを、ワークも入れながら学びました。

(感想)

  • 評価せずにまずは自分の気持ちに気づく。これの大切さを体験できました。心と頭を分けて休める時間になりました。今日も素敵なワークをありがとうございました。
  • マインドフルネスの注意集中とモニター機能がMIの面接でいきると思いました。マインドフルネスを練習しているおかげで自分の心の動きに気付きやすくなっていると思いました。
  • 今日もとても楽しくあっという間でした!ぐるぐる思考の時に実践します。また今日娘が落ち込んでいたので、脱フュージョンやマインドフルネスなど今日学んだことを教えてあげようと思います

第3回:リフレクティング(自己理解・多様な視点)

オープンダイアローグなどで用いられているリフレクティングの方法を紹介、ワークを通して体験してもらいました。

(感想)

  • リフレクティングでお話して、とてもうれしいフィードバックをいただき嬉しかったです!初めての経験で、とても学びがありました。明日からのエネルギーになりました(^^)
  • 改めてリフレクティングの可能性とMIとの親和性の高さをとても感じました。話すことと聞くことを分けるということと、チームで関わることの効果を実感しました
  • MIのスピリットとリフレクティングを対人支援の時に組み合わせながら、聴き手として多様な視点を広げていきたいと思いました。声をオフにして共鳴しているリフレクティング・チーム役割の体感=話し手役の方と同じエネルギーが伝わったことがすごい新しい発見でした。引き続き研鑽につなげます。ありがとうございます。

第4回:アサーション(自分も相手も大切にする)

自分のいいたいことを引っ込めたり、逆に攻撃的になったりするのではなく、「自分も相手も大切にする」コミュニケーションとしてのアサーションの方法を学びました。

(感想)

  • 日本人は文化的に非主張的になりがちでストレスをためてしまう人も多いと思うので、アサーションを学べると精神的な健康度が高まると思いました。
  • アサーションは、相手に対してどこまで自己開示できるかというMIでいうところの純粋性などに関わっていると感じました。エクササイズを通して相手との水平な関係性や協働を感じました。一方で、自分の大切な価値や感情に触れるような場面ではアサーティブになるのが難しくなるとも感じました。
  • AOA大事ですよね。そして、アサーションのワークでも、伝わりやすさを体験出来て早速使っていきます。ありがとうございます。動画もありがとうございます。忘れないように拝聴いたします。

第5回:解決志向アプローチ(ゴールの明確化)

問題の原因さがしで同じパターンを繰り返すのではなく、解決像を活き活きとイメージし、コールに向かって行動をスタートすることを学びました。

(感想)

  • 上手く行った後の状態を話をすることは、気分を上げ、その気になるため、行動への動機つけが高まり、実現のための行動の工夫も湧いてくるように感じました。少し使ってみようと思った次第です。
  • SFAは名前を聞いたことはある。というレベルだったので、体験できてよかった。例外探しは私がよく利用するので、テクニックとして今後も利用していこうと思いました。個人的に最初のアイスブレイクは簡単に見える化するので、私も実践に活かしたいなと思いました。
  • 解決志向アプローチはMIと目指す姿が似ているように感じていましたが、質問を多用する点やより具体的な行動としてゴールを決めていくところに特徴があり、そこに難しさもある一方で面白さも感じました。解決志向は、より変化への自信度が低く、なかなか動き出せない人のほんの少しの最初の1歩を踏み出すのを支えるのに役立つように感じました。他の心理療法も、MIのスタイルをベースにしてCLの自信度や重要度、準備性に合わせて色々とマッチングを考えていけたらいいのかもしれないなと感じました。

第6回:ACT(価値にそって行動する)

思考を変えようとして悪戦苦闘するのではなく、「自分の思考や言葉から距離を置く」「自分が大切にしている価値を知って行動する」という方法を学びました。

(感想)

  • 普段、他人軸で生きているので自分の価値観が分からなくなっているということに気づきました。定期的に自分に向きあう時間を持つことから始めたいと思います。ありがとうございました。
  • ACTとMIを分かりやすく説明いただきありがとうございました。
  • バスのメタファーの図がわかりやすかったです。人は自分の価値に基づかない行動を取り続けると精神的な健康度が損なわれることが多いと思われるので、たとえ思い込みが消えなかったとしても、自身の価値に気づき、価値に基づいた行動をとることが自分を保つ上で大切なことだと思いました。

第7回:リフレーミング(別の視点から見る)

ネガティブな出来事や捉え方を、視点や枠組みを変えてポジティブに捉え直す方法を学びました。

  • リフレーミングは普段から使っておりますが、今日のように様々な技法、療法からの観点から見直してみることで、使えるシチュエーションのひろがりを感じることができました。
  • リフレーミングの種類について再認識できました。色々な技法を知っていることは、支援の際の引きだしを増やすことと実感しました。是認のスキルが少し上がりそうな気がしています。
  • リフレーミングは、ネガティブな考え方をポジティブに変えるものだけと理解していましたが、MIの是認や、価値の探索にも使えることが分かって、相手の関係性が出来ていれば、使いやすいと思いました。例え違っていても不協和にならずに、発話してもらえれば、さらに探索ができるとも思いました。ありがとうございました。

第8回:ポジティブ心理学(ポジティブ感情と幸福)

セリグマン博士の提唱したポジティブ心理学、ウェルビーイングの実現について、ポジティブシンキングとの違いなども含め、意見交換してみました。

(感想)

  • 100%ポジティブは人間的部分を無視することになるという考え方を聞き、ポジティブ心理学の柔軟性を感じることができました。少し本を読んでみたいと思います。ありがとうございました。
  • MIもポジティブ心理学も、個々人の中にある強み等を見出していくことは、共通点だなと思いました。実際、本日良いこと探しをしてみて、改めて、ストレスマネジメントに良いと実感しました。
  • 意見交換の場で保健指導等の場面では、希望に焦点を当てることが役立つをお聞きしました。一方で、絶望を述べがちなクライアントに対しては、ネガティブになってはダメ、という正したい反射にならないように、タイミングに留意してポジティブな面にふれる必要があると共有できました。

第9回:CBT 認知行動療法(さまざまな認知パターン)

「自動思考」や「ビリーフ」という用語とともに、誰にでもありがちな「考え方のクセ」を見直してみました。

  • 信念はその人が経験してきたことに基づいて形成されていることなので、簡単にわかった気にならず、正したい反射に気を付けて教えてもらう姿勢がまずは大切と思いました。
  • 本日もありがとうございました。自動思考のことなど、自分一人では考えるのが難しいことが、支援者や複数人などと一緒にやるとやりやすいなどグループ会話で出たて参考になりました。
  • 今日もありがとうございました。今日は以前よりもワークを通して、自分の思考癖に気づくことができました。また、グループでの意見交換で、強みとなる部分やリフレーミングを通して、その思考癖もあっていいものだと感じ、バランスと柔軟性を持っていくことが大切だと改めて感じることができました。

第10回:REBT 論理療法(柔軟に考える)

人生は面倒なことだらけ。とはいえ、どんな逆境にも、ほどほど現実的な出口を見つけて行動に踏み出せる方法について考えてみました。

(感想)

  • REBTを学ぶことは初めてでしたが、ワークもできたので理解しやすかったです。誰にどう利用するかが大切だなと思いましたが、メンタル不調の方の不安を一緒に整理するために使えそうだなと思いました。
  • 今日も参加することで、昨日とは異なる気づきがありました。頭でわかるけれど行動に移せない場合の方法を知ることができたのは、本日の学びでした。対象者を理解したりセルフヘルプに使えたりするなと思いました。10回本当にありがとうございました。
  • REBTについて説明を受けたのは初めてでしたが、CBTとの違いなどよく分かりました。MIとの関連で言えば、ビリーフは自分が大切にしてきた価値観に基づいているものでしょうから、それが強みになっていたり、それで本人が生き延びる助けになっていた側面もあったりするのではないかと感じます。なので、自分を苦しめているものだと分かっていても、手放すのも難しいのかもしれないなーと…。最後の「行動で試していく」という練習方法はとても参考になりました。

今後についてなど

以上、10回のシリーズをざっと振り返ってみました。
新しい企画でしたが、自分自身もあれこれ調べたり考えたり、詳しい方に教えてもらったりしながら、皆さんと学べるとてもいい機会になりました。
MIと各技法との共通点や組み合わせについては、まだまだ考え始めたばかりなので、今後も、いろんな方から教わったり意見交換できると嬉しいです。

また、今回振り返りをまとめてみて気づいたのですが、風と太陽(藤本のキャリア支援事業)のアプローチも見えてきた面があります。
MIに関しては、いま「入門ガイドブック」「入門講座」「中級講座」「MI&対人援助技法」の学習コンテンツがありますが、
① まずは「理解と好奇心(パーソンセンタード)のアプローチ」としてMIを学ぶ
② そのうえで他技法との共通点や組み合わせを積極的に考える
という方針。

これは、これは風と太陽のMI研修の特徴になっているかもしれません。

今後について、「今回参加できなかったので次回開催されるならぜひ参加したい」「他に○○や××の技法も扱ってほしい」などの声もいただいています。
個人的な時間と労力が限られていることもあり、具体的な実施については未定ですが、秋以降もMIと対人支援についていろんな可能性を考えていきたいです。

MIに関しては、この夏以降取り組みたいテーマが2つあります。
(1)MIを生かしたキャリア支援 
(2)MIと習慣化 ※MIと「モチベーションに頼らない習慣化」をどう組み合わせるか

自分なりに少しでも実践を進めながら、10月のMINT Forum(リスボン)に臨めると、その後、異論ンな方と実りある話ができるのではないかと考えています。

では、今後ともよろしくお願いいたします。

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